「そんな時代か〜」程度に読んでいたニュースが、他人事ではなくなってきました。YouTuberやeスポーツを「なりたい職業」に掲げる塾生が、チラホラ出てきたのです。 これらの職業は、小中高生の職業トップ10に数年前からランキングしています。 中高生が思い描く将来についての意識調査2019 (外部リンク:ソニー生命保険株式会社) 2018年度「将来なりたい職業」ランキングトップ10(外部リンク:NPO法人日本FP協会)
「YouTuber」
YouTubeに代表される動画配信サービスにおける配信者の総称と捉えてください。当塾生にも、とあるLive配信サービスでランキングトップだった実力者がいます。投げ銭というファンから間接的にお金をもらえるシステムがあり、生計を立てていくことも理論上は可能です。
「eスポーツ」
「エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)」の略称。コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った競技のことを指しています。世界大会ともなれば、その賞金たるや数千万円単位ですから、腕の立つ人は充分に生計を立てることができます。
進路先としてはどうなのか?
eスポーツはアメリカや中国では学校教育として認知され始めており、大学の理工学部に組み込まれたり、優秀な学生を奨学金で後押しする仕組みが既にあります。 米ユタ大学、ゲーマーに奨学金制度 「Eスポーツ」普及を推進(外部リンク:ForbesJapan) 一方、日本は後進と言わざるを得ず、学部に組み込まれている大学はありません。専門学校でコースを新設しているところが一部ありましたが、私が調べる限り卒業生をまだ輩出していないため未知数です。いずれにせよ、公教育の後押しがあるか否かの差は大きいです。 当塾生のケースに限っていえば、保護者の皆さんは「得体の知れない職業になりたいと言い出した!」と困惑し、例外なく我が子の将来を憂うようです。最近でも、「AO入試がダメだったから、大学に行かずeスポーツの専門学校に行きたい」という進路相談を受け、あまりに唐突な方針転換だったので保護者も私も非常に悩みました。幸いにもAO入試に実は合格していた(おい!)ため杞憂に終わったものの、どういう選択肢が望ましかったのか未だ答えが定まっていません。 主な懸念点は3つ。 1、(他スポーツのような)プロまでの道程が、日本ではまだ見えにくい 2、検討していた専門学校のカリキュラムでは、eスポーツと英語しか学べない 3、本人の実力が未知数(実績なし) 上記3点より、大学進学後にサークル活動で腕を磨けばいいのではというのが保護者との統一見解でした。ところで、この相談を受けた時に思い出したのは、前職でのとあるトップダウン案件。その会社は球団を持っていたため、リタイヤした選手の再就職先をグループ内に作れないかというものでした。そこでネックとなったのは、選手の多くがそのスポーツ以外の知識や経験に極端に乏しかったということです。そのため、どの職種にも斡旋が難しかったと記憶しています(最近、その点をリカバーできるビジネスモデルの新会社を作ったようです)。そういったケースを目の当たりにしてきたので、おいそれと背中を押すわけにはいきませんでした。 職業に流行り廃りはつきものです。氷屋や電話交換手などの職業が無くなったように、これからも職業の交替はあります。AIの普及で無くなる職業があると一時期騒がれていましたが、これは何もAIに限った話ではなく、遥か昔からの摂理です。そのため、新しい職業をただ否定するつもりはありません。我々も情報を常にアップデートして、時流に合わせた進路指導を心掛けなければならないと痛感したわけです。 谷戸校(田無/ひばりが丘)より
Comments